Linuxのテキストエディタとして名高い「vi」と「vim」。これらは、シンプルながらも強力な機能を持っており、プログラマーやシステム管理者にとって欠かせないツールです。本記事では、viとvimの基本的な使い方から、便利なショートカット、さらには効率的に作業を進めるためのコマンド集までを一挙に紹介します。これを読めば、あなたもvi/vimの達人になれるかもしれませんよ!
目次
viとvimの基本的な使い方とコマンドを解説!
まず、viとvimの基本的な使い方についておさらいしましょう。viを起動するには、ターミナルで「vi ファイル名」と入力します。「ファイル名」が存在しない場合は新しいファイルが作成されます。起動後、最初は「ノーマルモード」にいるので、テキストを入力するためには「挿入モード」に切り替える必要があります。ノーマルモードで「i」を押すと、挿入モードに移行し、文字を入力できるようになります。
挿入モードからノーマルモードに戻るには「Esc」キーを押します。ノーマルモードでは、様々なコマンドが利用でき、例えば「:w」でファイルを保存、「:q」で終了、「:wq」で保存して終了することができます。これらの基本的な操作を理解することで、vi/vimを使いこなす第一歩を踏み出せます。
vimはviの拡張版であり、多くの便利な機能が追加されています。例えば、色分けされた構文ハイライトや、複数のファイルを同時に開くタブ機能などがあります。これらの機能を駆使することで、より快適なテキスト編集が可能になります。基本的な使い方を押さえつつ、vimの特長も活かしていきましょう。
編集に便利なviとvimのショートカット一覧
次に、viとvimを使う際に便利なショートカットをまとめてみました。
以下は、vi
とvim
のショートカット一覧表です。利用目的ごとに分けて整理しています。
1. 基本操作
操作 | コマンド | 説明 |
---|
ファイルを開く | vi ファイル名 | 指定したファイルを開く |
ファイルを保存 | :w | ファイルを保存 |
ファイルを保存して終了 | :wq / ZZ | 保存して終了 |
終了 (保存なし) | :q! | 保存せずに終了 |
終了 (保存済み) | :q | 保存済みなら終了 |
2. 編集モードの切り替え
操作 | コマンド | 説明 |
---|
通常モード | Esc | 通常モードに戻る |
挿入モード | i | カーソルの前に挿入 |
挿入モード | I | 行の先頭に挿入 |
挿入モード | a | カーソルの後ろに挿入 |
挿入モード | A | 行の末尾に挿入 |
上記モードを終了 | Esc | 挿入モードから終了 |
3. 移動
操作 | コマンド | 説明 |
---|
行頭に移動 | 0 / ^ | 行の先頭に移動 |
行末に移動 | $ | 行の末尾に移動 |
上の行に移動 | k | 上の行に移動 |
下の行に移動 | j | 下の行に移動 |
次の単語に移動 | w | 次の単語の先頭に移動 |
前の単語に移動 | b | 前の単語の先頭に移動 |
次の単語の終わりに移動 | e | 次の単語の終わりに移動 |
指定行に移動 | :行番号 | 指定した行に移動 |
4. コピー・カット・ペースト
操作 | コマンド | 説明 |
---|
1行コピー | yy / Y | 現在の行をコピー |
複数行コピー | y + 移動コマンド | 範囲をコピー (例: y3j は3行コピー) |
1行カット | dd | 現在の行をカット |
複数行カット | d + 移動コマンド | 範囲をカット (例: d3j は3行カット) |
貼り付け | p | カーソルの後ろに貼り付け |
貼り付け(上) | P | カーソルの前に貼り付け |
5. 検索・置換
操作 | コマンド | 説明 |
---|
検索 (前方向) | /検索文字列 | 前方向に検索 |
検索 (後方向) | ?検索文字列 | 後方向に検索 |
次を検索 | n | 次の検索結果に移動 |
前を検索 | N | 前の検索結果に移動 |
文字列を置換 | :s/旧文字列/新文字列/ | 現在行の文字列を置換 |
すべてを置換 | :s/旧文字列/新文字列/g | 現在行のすべてを置換 |
ファイル全体で置換 | :%s/旧文字列/新文字列/g | ファイル全体の文字列を置換 |
6. その他便利なコマンド
操作 | コマンド | 説明 |
---|
アンドゥ | u | 最後の操作を取り消す |
リドゥ | Ctrl + r | アンドゥをやり直す |
行を削除 (行全体) | D | カーソルから行末まで削除 |
インデントを増やす | > | 選択した範囲をインデント |
インデントを減らす | < | 選択した範囲のインデントを減らす |
7. ビジュアルモード
操作 | コマンド | 説明 |
---|
ビジュアルモード開始 | v | 文字単位で選択 |
ビジュアルモード(行単位) | V | 行単位で選択 |
ビジュアルモード(ブロック) | Ctrl + v | ブロック選択 |
選択範囲をコピー | y | 選択範囲をコピー |
選択範囲をカット | d | 選択範囲をカット |
この一覧表は、vi
やvim
の基本的なショートカットをカバーしています。特定の作業に合わせて使い分けると、編集作業がより効率的になります。
ショートカットを活用することで、作業効率が格段に向上します。まずはカーソル移動に関するショートカットです。「h」「j」「k」「l」を使うことで、それぞれ左、下、上、右にカーソルを移動できます。また、「0」で行の先頭に、「$」で行の末尾にジャンプできます。
次に、テキストの編集に役立つショートカットです。「x」を押すとカーソル位置の文字を削除でき、「dd」で現在の行を削除します。「yy」で行をコピーし、「p」でペーストができます。これらのショートカットを使いこなすことで、マウスを使わずにサクサクと編集が進みます。
最後に、検索機能に関するショートカットも見逃せません。「/」を押した後に検索したい文字列を入力すると、その文字列を探すことができます。また、次の一致を探すには「n」を押すことで、効率良く編集を進めることができます。これらのショートカットを使いこなして、vi/vimをより快適に活用しましょう。
より効率的に使えるvi,vimの便利なコマンド集
ここでは、viとvimをより効率的に使うための便利なコマンドを紹介します。
1. ファイル操作
操作 | コマンド | 説明 |
---|
新しいファイルを開く | vi 新しいファイル名 | 新しいファイルを開く |
ファイルを保存 | :w | ファイルを保存 |
保存して終了 | :wq または ZZ | ファイルを保存して終了 |
保存せずに終了 | :q! | 保存せずに終了 |
ファイルを再読み込み | :e! | ファイルを再読み込み |
2. 移動操作
操作 | コマンド | 説明 |
---|
現在行の先頭に移動 | 0 または ^ | 現在行の先頭に移動 |
現在行の末尾に移動 | $ | 現在行の末尾に移動 |
1単語分進む | w | 次の単語の先頭に移動 |
1単語分戻る | b | 前の単語の先頭に移動 |
次の単語の終わりに移動 | e | 次の単語の終わりに移動 |
現在行をスクロール | Ctrl + u (上) / Ctrl + d (下) | 現在行を中心に上下スクロール |
次の検索結果に移動 | n | 次の検索結果に移動 |
前の検索結果に移動 | N | 前の検索結果に移動 |
3. 編集操作
操作 | コマンド | 説明 |
---|
挿入モードに入る | i | 現在カーソル位置で挿入 |
行の先頭で挿入モードに入る | I | 行の先頭で挿入 |
行末で挿入モードに入る | A | 行末で挿入 |
現在行を削除 | dd | 現在行を削除 |
複数行削除 | d + 移動コマンド(例: d3j ) | 範囲を削除 (例: d3j で3行削除) |
現在行をコピー | yy または Y | 現在行をコピー |
複数行コピー | y + 移動コマンド(例: y3j ) | 範囲をコピー (例: y3j で3行コピー) |
現在行をペースト | p | カーソルの後ろに貼り付け |
現在行をペースト(前) | P | カーソルの前に貼り付け |
4. 検索と置換
操作 | コマンド | 説明 |
---|
文字列を検索 | /文字列 | 前方向に検索 |
後ろ方向に検索 | ?文字列 | 後ろ方向に検索 |
検索結果を置換 | :s/旧文字列/新文字列/ | 現行行を置換 |
行全体を置換 | :s/旧文字列/新文字列/g | 現行行内で全て置換 |
ファイル全体で置換 | :%s/旧文字列/新文字列/g | ファイル全体で置換 |
置換時に確認する | :%s/旧文字列/新文字列/gc | 置換時に確認を行う |
5. Undo / Redo
操作 | コマンド | 説明 |
---|
最後の操作を取り消す | u | アンドゥ |
取り消しをやり直す | Ctrl + r | リドゥ |
6. インデント操作
操作 | コマンド | 説明 |
---|
インデントを増やす | >> | 行のインデントを1段増やす |
インデントを減らす | << | 行のインデントを1段減らす |
複数行インデントを増やす | 3>> | 3行インデントを増やす |
複数行インデントを減らす | 3<< | 3行インデントを減らす |
7. カーソルジャンプ
操作 | コマンド | 説明 |
---|
対応する括弧に移動 | % | 対応する括弧、ブラケットに移動 |
行頭から行末まで削除 | D | カーソルから行末まで削除 |
単語の先頭に移動 | w | 次の単語の先頭に移動 |
単語の終わりに移動 | e | 次の単語の終わりに移動 |
画面内でのスクロール | Ctrl + u (上) / Ctrl + d (下) | 画面内でスクロール |
8. ビジュアルモード
操作 | コマンド | 説明 |
---|
ビジュアルモード開始 | v | 文字単位で選択 |
行単位でビジュアルモード開始 | V | 行単位で選択 |
ブロック選択 | Ctrl + v | ブロック選択 |
選択範囲を削除 | d | 選択範囲を削除 |
選択範囲をコピー | y | 選択範囲をコピー |
選択範囲をペースト | p | 選択範囲をペースト |
9. ファイル管理
操作 | コマンド | 説明 |
---|
次のファイルに切り替え | :n | 次のファイルに切り替え |
前のファイルに切り替え | :prev | 前のファイルに切り替え |
ファイルリストを表示 | :args | 現在開いているファイルリスト表示 |
全てのファイルを保存 | :wa | 全てのファイルを保存 |
より実践的なコマンド入力となります。
その他にも、ファイルを開く際に「vim -o ファイル1 ファイル2」と入力すると、分割画面で両方のファイルを同時に表示できます。これにより、複数のファイルを比較しながら編集することが可能になります。
また、vimには「マクロ」という機能もあります。ノーマルモードで「q」キーを押し、続けて任意のキー(例:a)を押すことでマクロの記録が開始されます。編集が終わったら再度「q」を押すと、そのマクロが保存されます。以降は「@a」でそのマクロを実行でき、繰り返しの作業を大幅に短縮できます。
さらに、プラグインを利用することでvimをカスタマイズし、機能を拡張することも可能です。「vim-plug」などのプラグインマネージャーを使うと、簡単にプラグインをインストールしたり管理したりできます。これにより、自分に最適な環境を整えることができ、作業がさらに快適になります。
viとvimは一見難しそうに見えますが、基本的な使い方や便利なショートカット、コマンドを押さえることで、誰でも使いこなすことができます。今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分なりのスタイルでvi/vimを活用してみてください。テキスト編集がもっと楽しく、効率的になること間違いなしです!
あわせて読みたい
Linuxコマンド集
Linuxを扱う上で必要となるのが「Linuxコマンド」です。 近年ではGUI環境が整い、コマンドを実行しなくてもWindowsやMacのように扱いやすくなって幅広く作業を行うこと...
コメント